[業界今昔物語]

第4回 ランドリー機械 発達の歴史2


脱水機

脱水機も洗濯機と同じように処理量によって数種類が生産されていました。

脱水機の処理量は回転する内胴の直径で表わされ、外国と同じくインチ表示で20、26、30、36、42インチ型などありましたが、業法型としては20インチ型が洗濯機とコンビで定められていました。
高速で内胴が回転し、遠心力で被洗物から水分を振り切る構造から「振り切り」とも「遠心分離機」とも称されました。
回転数は引力の590倍が多く採用され(590G)、これに耐えられる板厚の内胴が使用されましたが、さらに二、三段の補助帯を巻いて、安全性を高めていました。
20〜30インチまでの機械はベルト駆動で、外胴には鋳物を採用。その形状がダルマに似ていたことから「ダルマ式」ともいわれました。

洗濯機、脱水機を駆動させるベルトが数多く工場に垂れ下がっていたため、安全面からもベルトを少なくしようと洗濯機、脱水機ごとに直結モーターを採用し、個々に駆動する型へと移行していきました。

○ 洗濯機の場合は、起動トルクがあまり問題になりませんでしたが、脱水機では内胴にぎっしりと品物をつめることが、安定回転を維持するため必要条件であり、バランスの悪いつめかたをすると回転がスムーズにいかないという問題がありました。

しかし平均して脱水機に一杯詰めると、それを回転させるために大きな起動トルクがかかります。
ベルト式ならば、ベルトが自然にスリップして逐一、低速から中速、高速回転へと移行できますが、直結電動式だと、自動加速器として徐々に遠心力が増加していく「コマ」が必要でした。
これは消耗品で、しばしば取り替えなければならず、手間がかかり、能率にも影響してきます。
そこで、起動トルクに耐えられる電動機が開発されはじめました。

まずナショナルが縦型電動機の回転コアの特殊型を開発、「ハイトルクモーター」としてその普及に乗り出し、他のメーカーもこれに対抗するかたちで開発していきました。
これらのハイトルク電動機の開発により、脱水機の大きさも36、40、48インチと大きくなり、これまでの1〜3馬力などから10〜15馬力と大きくなりました。
ハイトルク電動機は、普通の同サイズの電動機より、始動時に極めて大きな電気容量を必要とするため、それに耐えられる配線が要求され、電気配線を行う電気工事店に2クラスも太い線を要求したりしていました。