[業界今昔物語]

第5回〜乾燥機・仕上機の歴史


乾燥機

さて続いて、乾燥機の歴史を振り返ってみましょう。

当時、日本に持ち込まれていた乾燥機は、標準型が18キロの縦型で最も多く、それ以上のものは洗濯機同様、横型が採用されていました。

ともに、高圧水蒸気を注入する給気口と排気口の間に、エロフィンヒーターを接続し、強力排風機によって外気を加熱し、被洗物を熱と風の力で乾燥させる構造で、被洗物が丸まるのを防ぐため、内胴は正転、逆転するコントロールがついていました。
縦型にしろ、横型にしろ大きさこそ違うものの、駆動用と排風用と、1台にふたつの電動機を取り付けるのが通常でしたが、小型のものではひとつの電動機で駆動、排風、両方を回転させるものもありました。

回転式乾燥機には、回転完全乾燥させるときに出る糸屑など、いわゆるリントが排風機およびダクト等に詰まらないようにするため、リントボックスを排気筒の途中に設置しました。

フェイスタオル、バスタオル類は乾燥機で完全乾燥していましたが、のり付けをしたものは、のりが飛んでしまわないうちに、若干湿った状態で取り出していました。
プレス機、ロール機で仕上げたり、手アイロンで成型するものも完全乾燥しないで、半乾燥で取り出していました。
このように半乾燥した状態で出してしまうことを「シェイキング」と称し、乾燥機の使われ方として極めて多くなっています。

仕上機:プレス機とアイロナー

半乾燥したものを機械仕上げするのに、プレス機とアイロナーがあります。

プレス機にはワイシャツ専用の通常4、5台が1セットになった「ワイシャツ仕上げセット」、浴衣ならびに大判物をプレスする「浴衣仕上げ機」と称するプレス機のほか、特殊なものに適合したプレス機なども利用されていました。

シーツ、ピロケース、ナプキン、テーブルクロスなどの平物は通常プレス機にかけるより、連続処理ができて、能率のよいアイロナーで仕上げられます。

アイロナーには多連式のロールを回転させて仕上げるものと、ベルトと加熱ロールの間を品物を通して乾燥仕上げするものと二種類が逐一開発され、処理能力が要求されるに至っては、機械が大型化していきました。

工場では乾燥兼仕上げされるものが多いため、これらの機械の能率が即、工場能率を左右する時代に移り変わってきました。

アイロナーの高速化が進むにつれて、品物投入装置(フィーディング機械)そしてアイロナーから出てきた品物を折り畳み、数を算出し束ねられる装置(フォールディング機械)も発達し、今では前処理機械、後処理機械を設置し人手を節約し、能率を向上させる設備は必須機械として、重視されるようになってきています。