[業界今昔物語]

第14回 一般クリーニングの発達の歴史4

ドライクリーニングの溶剤回収装置としては、次の方法が用いられました。

  • (a)鹸化方法(グローバー式回収法)
  • (b)ろ過方法
  • (c)蒸留方法
  • (d)遠心分離機(脱液機)による分離方法
  • (e)沈澱法、その他

最も多い方法としては(a)〜(c)で、特に(b)(c)のふたつの方法を併用するのが、最も能率のよい方法で、機械間の接続部は取り外しが可能なフランジ、あるいは継手を利用し、その他にトラップ、サイドグラス(外から液の流れをみることができる窓)を装備しています。

明治、大正時代には溶剤のみで洗っていましたが、ソープの進歩により、ドライクリーニングの欠点だった汚れの除去も一段と改善されていきました。
洗いの工程も溶剤のみの洗浄から、バッチシステム、チャージシステム、またはこれらを併用する方式など、進歩は著しくなっています。

石油系の乾燥について

石油系溶剤によるドライクリーニングの乾燥は、単に脱液した品物を乾かすという意味だけでなく、脱臭の上からも大切で、これを省略することはできません。
乾燥はタンブラーなどの機械で行うか、天然乾燥するかですが、機械の場合、溶剤の回収を考慮し、再利用する必要から鹸化式回収方法、遠心分離機による分離方法、あるいは沈澱方法などは、昭和初期から姿を消して、ろ過方式、蒸留方式が主に用いられてきました。

この工程ではまだ、液の中には脱色した色素や不純物が残っているので、脱色、脱臭のための補助剤も開発されていきました。

塩素系の洗浄機について

塩素系溶剤では、石油系溶剤と違い、引火性の危険はありませんが、一部の染料に対する脱色、あるいはボタン、バックル、その他の装飾品に対して、溶解等の作用を引き起こすことがあるため、十分な注意とともに知識、経験が必要です。

塩素系溶剤の洗浄機構造は密閉式です。脱液も同一機械内で行うものが多くなっています。

1台で乾燥、回収まで行い、コンパクトにまとめたホットマシンは、全自動ドライクリーニング装置として、また機械表面を美しく仕上げたものが店舗の看板兼処理機として、現在に至るまで製作されています。

国産機械メーカーは、ドイツやイギリス、イタリア等の機械メーカーと技術提携を行ったりしながら、機械の改良につぐ改良を重ねてきました。
環境問題に対応して、外気汚染を予防する種々の機械も登場しています。