[業界今昔物語]

第11回〜ドライクリーニングの歴史2

一般に白物と違い、ドライクリーニングは昔から乾式洗濯、純ドライ、化学ドライの名称で呼ばれ、古い文献には白物すなわちワイシャツ、シーツ、テーブルクロスのように水で洗えるものと区分して、特殊な溶剤に助剤を加え、さらに各種加工を施すために化学なる名称を使って処理してきました。

ドライクリーニングの処理すべき被洗物の汚れを分析してみると。

  • 微生鉱物性の蓄積による汚れ
  • 着ている間に付着する油汚れ
  • 外部からの鉱物性の汚れ

など、実にさまざまな汚れが付着しています。

まず塵、泥、砂、着用している間についた埃を除去し、ついで脂肪分(人間の垢、動植物性脂、食べこぼし、化粧品など)を取り除きます。

単に付着した埃などは、ほとんどが物理的に除去できますから、昔は「ダストホイール」などの大きな機械で衣類を回転させ、もみほぐしながら除去しました。

さらにポケット内、ズボンの折り返しなどの部分の埃を取るためポケット掃除機などがありました。 この段階で、付着しているものを除去するわけですが、現在でも、機械こそ変われど同じ様な方式が行われています。

埃などを物理的に除去した後、次工程として、溶剤に入れて脂肪分などを化学的方法で除去します。

事前に厄介な付着物は前処理を施すケースが多く、種類別に各種薬剤の助けをかりて作業を行いますが、有効かつ適切、合理的に除去するためには、かなりの経験と知識が必要です。ひとつの工程であるのみならず、立派な技術上の学問といえます。